ガルバリウム?ガルバニウム?ガルバ?って何?
屋根に関わる金属でガルバと呼ばれたりするものがありますが・・・
正解はガルバリウム鋼鈑です!
屋根はガルバの屋根にしたよ。とか、そんな使われ方をします。
ガルバリウム鋼鈑って何?
ガルバと一言で簡単に言いますが、正確に内容を知ってる方が少ないので調べました。
簡単に言ってしまうと鋼鈑の上にメッキ塗装をしているものです。
中身は鉄です。
アルミニウム・亜鉛合金めっきされた鉄の板状のものです。
鋼鈑の上にアルミニウム55%、亜鉛合金めっき43.4%、ケイ素1.6%の合金メッキがしてあるもののことです。
ここで一つだけ言いたいのが、ガルバリウム鋼鈑はサビない!ではなくて、サビにくい!ということですのでご注意ください。
施工される方も表面の塗装面を傷めないようにお願います。
瓦屋根でも実はガルバリウム鋼鈑を使うことがあります
ケラバ捨水切メタルと呼ばれるものですが、袖瓦の下部分に樋のように使います。
もし、袖瓦の下部から水が浸入してもこの捨水切メタルを通して軒先まで水が排水できるように使用します。
平板瓦の場合は和瓦と違って袖瓦が上に被る形になるので、こうした備えも見えないところでしてあります。
まとめ
ガルバの正式名称はガルバリウム鋼鈑。
ガルバリウム鋼鈑は、鋼鈑の芯材をメッキ塗装したもののこと。
錆びないではなく、錆びにくい。
瓦屋根でも見えないところでガルバは使用している。
参考にしていただければと思います。
なぜ瓦の一文字葺きは高いの?
表題の「なぜ瓦の一文字葺きは高いの?」ですが、某質問サイトにありましたので、少し丁寧に説明します。
結論から言います・・・
一文字葺きが高くなるのは、施工の手間が一番掛かるからです!!!
あ、理由が分かったからって帰らないで下さいね(笑)。
説明していきますので。
一文字(いちもんじ)って何?
素朴な疑問ですよね。
一文字瓦とは、J形瓦(和瓦)の一番屋根の先端部分である、軒先に使う瓦の種類です。
これが一文字瓦です。
下のラインが真っ直ぐラインが出て美しいです。
左右の瓦とのつなぎ目を削って合わせていくのですが、この作業がThe職人技なのです!
技能グランプリ2014福島大会 かわらぶき タガネ作業 - YouTube
作用をしている部分が一文字部分ではありませんが、タガネと呼ばれる道具を使って、瓦を削っていく作業です。
電動工具もありますが、それでも職人さんの技術と手間はかかります。
この作業を丁寧に行わない限り、左右の合わせ部と下のラインがキレイに揃わない屋根になってしまいます。
一般的な軒先瓦は何なの?
これが一番一般的に使われる瓦で万十(まんじゅう)軒瓦とか唐草(からくさ)と呼ばれます。
先ほどの一文字軒瓦と比べますと〇部分の下で左右の合わせ目を隠す構造になっています。
左右の瓦の合わせ作業は必要ないので、コスト的にはお値打ちになります。
日本瓦は軒先部分や、袖瓦部分などの部位ごとにコダワルってオリジナルに仕上げることができるのも魅力ですね。
そんな屋根を見つけてしまうと私は大興奮してしまいます(笑)。
まとめ
軒先瓦の一文字は上下左右の合わせ作業に職人技と手間がかかる分だけコストは高くなる。
しかしデザインの美しさ、知る人ぞ知るコダワリポイントでもある。
参考記事
瓦屋根のプロである私達がお施主さんのコダワリを感じる部分 軒瓦編 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
袖瓦もオリジナリティを表現できる場所なのですね。 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
屋根勾配によってメンテナンス費用が変わります
屋根の勾配(こうばい)によってメンテナンス時の費用が変わってくるんです。
なかなかイメージしにくいですよね?
屋根には雨水を排水するために、角度がついています。
水平方向に10いった時に、いくつ垂直方向にいくかで〇寸勾配と言います。
一般的な屋根では、4寸勾配~6寸勾配のものが多いです。
コレには理由があります。
屋根勾配が緩いとどうなるのか?
角度が緩いと何が起こるのか?
雨が適切に排水しにくくなります。
水は角度がないと下に流れていきません。
単純な雨だけでしたら下には流れていきますが、風が吹くと雨が上に登っていくこともあります。
その分だけ雨漏りする危険性が増します。
・メリット
屋根面積が少し減るのでコストダウンすることができる。
デザイン性が増す。
シンプルモダンの建物だと角度の緩い片流れのデザインがカッコイイですよね。
雨に対する備えは適切に行って下さいね。
角度が緩いと職人さんも足が凄く楽だったりはします(笑)。
屋根勾配がキツイとどうなるのか?
角度が急になると雨水のキレは良くなります。
しかしここで少し問題があります。
角度が急になればなるほど、人が立っていることが難しい状態になります。
6寸以上の急勾配になると、立っているのも難しく作業が非常に大変です。
こういうジャングルジムのような屋根足場というものが別途必要になってきます。
コレがないと体重を預けたり、つかまって移動することができません。
施工作業も通常よりも時間も手間もかかるため少し割高になります。
・メリット
デザイン性が増す。
角度の急な外観は凄くカッコイイですよね~。
そして屋根裏を利用したスペースを作ることができる。
屋根裏部屋って凄くワクワクしますよね!
メンテナンスの時に起きること
角度が緩い時は通常の4寸~6寸勾配の時と変わらないです。
むしろ角度がない分だけ作業はしやすいくらいです。
急勾配の場合は作業をするために、通常の屋根上までの足場にプラスして別途屋根用足場が必要になります。
これは瓦だからではなく、他の屋根材でも同じです。
例えば、カラーベストや金属屋根材の色の塗り替えの時にも必ず必要です。
屋根足場がないと危なくて作業ができません。
10年ごとに色の塗り替えをする際に、必ず追加費用がかかりますので、ご注意ください。
見積もりが隣のお家がやった時よりも高い!っと思っても屋根足場代や作業の手間がかかるため、適正な金額なのかも知れません。
屋根勾配を絶対4寸~6寸にしなければいけないと言っているのではありません。
こういったメンテナンス費用の要素もあるということを知っておいていただきたいんです。
その分を将来のメンテナンス費用として貯めていくとか、屋根裏部屋のある生活をしたいとか、様々な想いや方法があると思います。
住宅を建築する前にこのことも一度お考えいただく機会になればと思います。
たとえば、屋根裏利用をした住宅に住むのが夢でありどうしてもやりたい。
色の塗り替えの費用のことも考えて、瓦屋根にしよう!
そんな考え方もあるのではないでしょうか?
最後に瓦の売込みっぽくなってしまいましたね(笑)。
参考にしていただければと思います。
オマケ
雨の多い日本だからこそ、屋根には勾配(角度)が必要です - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
以前書いた屋根勾配のブログです。
日本を出て世界を知ったからこそ分かる日本の良さ
雨漏りの発生原因の一つ 瓦がズレてくるワケ
雨漏りの発生原因の一つとして、瓦のズレがあげられます。
たとえば、上の写真のような状態です。
なぜズレてしまったんだろう?
原因について少し説明しますね。
この瓦屋根は80年くらいの建物だそうです。
その当時に乗せていただいた瓦が今も現役で使われています。
耐久性がやはり瓦はバツグンですね!
話が逸れました(笑)。
このズレる原因の一つですが、昔の施工では釘を打っていない状態なのです。
土葺き工法(どぶきこうほう)という施工方法で、瓦の下に葺き土と呼ばれる土を敷き、そこに瓦を乗せておりました。
よく見ていただくと瓦の下に土が見えますよね?
そして瓦に小さい穴が開いていますが、これは銅線で縛るためのものだったと思います。
瓦を剥がすときっとこんな状態です。
断面のイメージ写真を使うと、このように葺き土の上に乗っている状態です。
葺き土が経年変化で痩せてきてしまうと動きやすくなってしまいます。
では現在の施工方法である、引っ掛け桟瓦葺き工法(ひっかけさんかわらぶき)の断面は?
この写真のように瓦の裏側にある剣(けん)と呼ばれるツメ部を桟木に引っ掛けて、尚且つ釘止めをしています。
ですから、瓦がズレることもほとんどない施工になってきています。
さらに今のJ形瓦と見比べていただくと、分かるのが瓦の上下が重なって隠れるところに、雨対策の防水壁がついています。
表に出ていないところにこそ、瓦の進化を見ることができます。
ズレてしまった場合は、そのズレを元の状態に戻すこと。
そして、瓦の下の状態によりますが、できることならば今の引掛け桟瓦葺き施工で葺き替えすることができるとその後も安心して暮らせると思います。
予算の関係などで、葺き替えができなくても、まずは雨漏りを止めるためにできることがあります。
あとは、ご相談しながら少し手を掛けてあげれたらと思います。
屋根にコダワリを表現できる場所 本棟編
屋根にコダワリを表現できるシリーズ。
今回は本棟編です。
過去においては、軒先瓦と袖瓦をすでにやってみたので、そちらは参考にして下さい。
瓦屋根のプロである私達がお施主さんのコダワリを感じる部分 軒瓦編 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
袖瓦もオリジナリティを表現できる場所なのですね。 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
本棟とは、切妻屋根の一番高い部分につく棟のことです。
地面と平行に走っている部分のことです。
一番オーソドックスな棟瓦の組合せです。
のし瓦を5段積んで、上に紐丸を使っています。
こういう棟の積み方が一番多いです。
のし瓦の段数が高い低いによって、鬼瓦の大きさも変わってきまぁ~す。
のしの段数が増えて高くなってくると高級感や重厚感が増しますねぇ~。
なんだかんだ地震に弱いなどと言われますが、個人的には高い棟の重厚感が好きです。
きちんとした施工をしてもらえば、高くてもほとんど被害が出てないんですけどね。
こちらものし瓦を積んであるのですが、ちょっとゴツゴツしているように見えませんか?
のし瓦ですが、これは紐のし瓦と呼ばれるもので、瓦同士の左右のつなぎ目にボコっとした紐と呼ばれる出っ張った部分があります。
これがあるとのしにもデコボコとした表情が出てきます。
のし瓦の中段くらいにかなりデコボコとデザインされた瓦があるのですが・・・
これは松川のし(まつかわのし)と言いまして、かなり表情が変わるので、人気でした。
最近はコスト優先であまりこういった手の込んだものを使っていただくケースが少なく寂しいです。
でも近所を散歩していて、もし松川のしが使われている家を見つけたら興奮しちゃいますよね?
興奮してもいいんです!!!
それくらい屋根にこだわっていただいてる家の場合は嬉しいと思います。
のし瓦の間にこうやって軒先で使われる瓦をデザインで入れるケースもあります。
特殊家紋付の軒瓦だとコダワリを表現するポイントとして棟に入れるのもアリですね。
ここからはもうマニアックになり過ぎるので、写真だけ連続で投稿します。
棟ってこんなに様々なデザインができるんだぁ~。
ちょっと散歩しながら見てみよう。
そんな気持ちになってくれたら嬉しいです。
ではいきます!!!
もう何がなんだか分かりませんよね?
雨切りのし瓦に、ダイヤのし瓦に青海波。
マニアックな世界にようこそ(笑)。
一枚ものの写真も手配してもっと詳しくお伝えできるように準備しておきますねぇ~。
様々なコダワリが表現できる瓦屋根の世界に興味を持っていただけたらと思います。
各場所でコダワリを表現できるのがJ形瓦(和瓦)の魅力の一つですね!!!