瓦屋根のプロである私達がお施主さんのコダワリを感じる部分 軒瓦編
今日は私達瓦のプロが見てコダワリを感じる屋根の部分について書きます。
万十軒(まんじゅうのき)
万十軒(まんじゅうのき)と言います。
唐草(からくさ)とも呼ばれます。
丸い部分に横の瓦が重なるようになっていて作業性が良いです。
これが一番一般的な軒先瓦です。
ほとんどのお家がこの万十を使っています。
同じ万十軒でもデザインが入ったものがあります。
花剣軒瓦(はなけんのきかわら)
花剣万十(はなけんまんじゅう)なんて呼ばれることもあります。
軒先瓦の前のタレと呼ばれる部分に柄が入っています。
さらに少しプラスされたものがあります。
京花軒瓦(きょうはなのきかわら)
京花万十(きょうはなまんじゅう)とも言います。
タレの部分の柄だけじゃなく、鏡と呼ばれる丸の部分にも柄が入っています。
この辺の物を見ると、おぉ~って思います。
垂剣軒瓦(たれけんときかわら)
垂剣万十(たれけんまんじゅう)とも言います。
タレの部分の形状が少し膨らんでいます。
これもちょっとしたことですが、コダワリを感じます。
さらにこんな派生形もあります。
木瓜軒瓦(もっこうのきかわら)
タレの部分に段がついております。
コレを見つけるとちょっとテンション上がります。
こだわってるなぁ~って思います。
木瓜(ボケ)の花に似ているからです。
木瓜(もっこう・もっこ)という家紋もあります。
特殊指定軒瓦
オリジナルで柄を作ることもできます。
これは型を作って柄を出すため、普通はお目にかかれません。
公共施設に市のシンボルマークが入っていたり、お寺などでは見ることができるかも知れません。
お寺なでですと、宗派の紋や家紋が入っていることもあります。
一文字軒瓦(いちもんじのきかわら)
軒先がキレイに真っ直ぐになる一文字瓦です。
これを見かけることもありますが、実は職人さんの腕の見せどころなんです。
鏨(たがね)と呼ばれる道具などを使って隣の瓦との合わせをキレイにそろえます。
しかも下端(したば)も真っ直ぐ合わせるようにバランスを取るため非常に施工が難しいです。
左右のみならず下も合わせるという、キングオブ軒瓦です。
最近は電動工具も出ているようですが、この合端(あいば)作業が僕は好きです。
瓦を加工するための職人の道具『鏨(タガネ)』とは - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
↑以前書いたブログで動画も使って説明していますので、興味あったらご覧ください。
この一文字軒を見ると、嬉しくなります。
職人技だなぁ~っと、しばし時を忘れそうな感じです。
最後に一文字軒の派生した瓦をご紹介します。
野郎軒瓦(やろうのきかわら)
野郎軒(やろうのき)ですが、淡路瓦では鎌軒(かまのき)と呼ばれることもあります。
左右の合わせが必要ですが、下端の合わせは一文字よりはシビアではありません。
これもシンプルでカッコイイ軒瓦だと思います。
まとめ
軒瓦にも様々な種類があり、一般的な軒瓦は万十軒瓦である。
タレの部分に柄が入ったりデザインが少しずつ違う軒瓦がある。
軒瓦の最高峰は一文字軒(いちもんじのき)である。(私見ですが)
皆さんのお家はどんな軒瓦が使われていますか?
旅行に出かけたりお寺などを観光する時には屋根を見ると違った楽しみが出ると思います。