瓦を施工するための職人の道具。瓦用金槌は『玄翁(ゲンノウ)』と呼ばれてます。
住まいを雨などから守るために働く、屋根職人さん。
そんな屋根職人さんのことを葺師(ふきし)さんと呼びます。
瓦を屋根に施工していくことを瓦を葺く(ふく)と言うからです。
そんな職人さん達の仕事を支える道具について書きたいと思います。
実は職種によって金槌(かなづち)の形が違うんです
金槌というのは、総称なんですね。
(goo辞書より)
いろんな用途によって使い分けるのですね。
葺師さんが使う瓦用金槌のことはよく「ゲンノウ」と呼ばれています。
しかし、大工さんの使うゲンノウとは少し形が違うんです。
ゲンノウは両方とも使える金槌のことだと思っています。
瓦工事用に使うゲンノウってどんな形なの?
こんな形をしています。
釘を打つ面は四角形をしています。
反対側は先が尖っています。
それぞれ形には理由があります。
面が四角なのは、釘を打つだけではなく、瓦の加工にも使うからです。
「ハツる」なんて言われることもあるのですが、瓦のハジの部分を欠けさせたり、瓦を割る時にも四角であることによって真っ直ぐ割れるんです。
瓦を加工しやすくするための要素も兼ねているため四角なんです。
なんか上手く説明できないのがもどかしいです。
技能グランプリ2014福島大会 のし瓦切断作業 - YouTube
1:05~1:15の部分が瓦をハツる作業です。
この時はタガネという道具を使わず、ゲンノウである程度の加工をしています。
細かい作業はタガネを使うのですが、その前の段階の粗加工ですね。
え?横の側面も使うの?
瓦工事用のゲンノウは横の側面も平らになっており、使うこともあります。
技能グランプリ2014福島大会 瓦割作業 - YouTube
この方は、タガネ作業をする際にゲンノウの側面を使っています。
側面の方が面が広いからですね。
私もタガネを使う時にはゲンノウの側面で打つと習いました。
反対側の尖ってる部分ってどういうところに使うの?
先が尖ってたら危ないですよね?
でも瓦を葺く作業の時には必要なんです。
瓦にはこういう「隠し穴」というものが存在します。
これは、使う場合もあるけども、あまり使わないところなんかに隠れて存在しています。
例えば、パッキン付のビスを打つ場合だったら、一か所で良いのですが、銅線等で緊結する場合もあります。
その際には2か所穴が必要なのです。
この隠し穴を貫通させるために、ゲンノウの尖った部分を使います。
隠し穴は薄く蓋がされているような状態なので、ゲンノウの先でカンカンとやっていただくと穴が開きます。
そして、その穴を利用して瓦を緊結します。
たかが金槌かも知れませんが、瓦工事用金槌のゲンノウは工夫がいっぱいされた職人道具なんですよ。
オマケですがゲンノウの柄の部分に線が入ってますよね?
これで寸法を計ることもできるんですよぉ~
差し金やメジャーなど持ってるのであまり使いませんが、昔はたくさん使ったんでしょうね。
職人さんの道具も面白いですよね。
良い職人さんは道具の手入れも行き届いていますので、見せてもらうと面白いですよ。
良い仕事をするには良い道具が必需品ですね!