地震で瓦が落ちる理由
昨日で阪神大震災から19年が経過するのですね。
時の流れは本当に早いですね。
さて、今日の記事は地震で瓦が落ちる理由についてです。
などなど、瓦が悪だ!っという勢いで言われたりするのですが、果たしてそうなのか?
この誤った認識は、情報不足から起こってしまうのだと思います。
実際「瓦」が本当に悪いのでしょうか?
実は地震で瓦が落ちるのには理由があるのです。
そして、建築基準法の改定との兼ね合いもあるのです。
まず、瓦が落ちるメカニズムの話からします。
なぜ瓦が落ちるのか?
単純に瓦が重いからではないですよ。
正解は、「瓦の留め付けがされてないからです」
え?そんなこと?って思いましたよね。
瓦のない部分に土が見えますよね?
これが葺き土と呼ばれるものですが、この上に瓦が乗ってただけなんです。
この施工方法が、昔ながらの土葺き(どぶき)と呼ばれる施工方法です。
この写真のように、葺き土の接着力だけで屋根についています。
年数が経てば土も痩せていきますので、癒着力が落ちます。
私の実家もこの施工法ですので、屋根の上を歩くとズレます。
っということで、地震などの大きな揺れがくると釘などで留まっていないので
ズレたり、落ちたりします。
しかし、実はここには先人達の想いがあるのです。
地震が来ると屋根の瓦を落とすことによって建物を軽くし、家自体が倒れないようにと考えられていたというのです。
なぜか?
瓦よりも家の方が大事ですし、家財を守るため、人を守るためだそうです。
だから瓦がこの工法で落ちるのは、ある意味家を守るためには正解なのです。
先人達の知恵だったのです。
しかし、阪神大震災以降に建築基準法が変わり、建物と瓦の考え方も変わってきました。
簡単に言うと、瓦が落ちては危ないので、落としてはダメだと。
今の施工方法では、横桟木と呼ばれる木があり、そこに瓦の裏部分にあるツメを
引掛けて釘を打つ、引掛け桟瓦葺き工法となっています。
横桟木とツメが引っ掛かっているので釘を打たなくても落ちません。
釘の打つ本数も実は、時代によって違っています。
今は、基本的に一枚に対して釘を一本打つ(全数釘打ち)が主流です。
しかし昔の住宅金融公庫の仕様基準では4枚に対して1本の釘打ちだったりします。
さらに今の瓦は、赤丸のようにツメのような防災機能と呼ばれる構造がついた防災瓦が主流です。
釘プラス斜めの瓦で噛合せることによって、めくれ上がったりズレにくくなっています。
そして瓦が重いからダメなんだと言われることもありますが・・・
軽い屋根材だって家は倒れます。
理由は一つです。
構造躯体の問題です!!!
柱や梁や筋交いの量とバランスの問題です。
ここさえきちんとクリアしていれば、瓦だろうが、軽量屋根材だろうが大丈夫です。
今の住宅の設計では、構造計算が義務付けられており、屋根材に合わせた構造になっています。
ですから、地震に対する強度は瓦のように重い屋根でも、板金等の軽い屋根でも同じです!
表面的なことだけではなく、真の問題をきちんと伝えていかなければと思います。
こんな話は、普通の方は聞いたことないですよね?
私達にとっては当たり前過ぎることですが、ちゃんと伝えていきたいです。
そして瓦屋根の家に住んでいて心配な方にも安心していただきたいのです。
安心して、瓦屋根を使って快適に過ごしていただきたいのです。
だいぶ分かりやすく書いたつもりですが、伝わってますでしょうか?
もっと細かくお伝えしていきたいところですが、今日はこれまで。
また別の機会に一つずつ絞ってお伝えしていきますので、よろしくお願いします