地震で棟瓦に被害が集中した理由 今後はガイドライン工法でお願いします 画像と文章で説明です。
前回動画でお伝えした記事ですが、今回は画像と文章でお伝えしようと思います。
地震で棟瓦に被害が集中した理由 今後はガイドライン工法でお願いします 動画編 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
なぜ、地震で棟部分の瓦に被害が集中してしまったのか?
一言で簡単に言ってしまいますと、施工方法の問題であると言えます。
現在のガイドライン工法で施工を行っている棟部分にはほとんど被害が出ていなかったとの報告も受けております。
では画像を使って説明していきます。
こちらが旧工法と呼ばれる工法の棟部分のモデルです(一例です)。
のし瓦の中は実は葺き土と呼ばれる土の付着力で固定されており、その周囲を銅線などで、グルっと一周巻いてあるだけでした。
普通の状態では崩れることもないのですが、いざ地震などの揺れが加わった際には、建物が横に揺れるが、棟部分は慣性の法則によりその場に残ってしまい、このズレが原因でグサグサっと壊れてしまったのです。
現在のガイドライン工法の棟はどうなっているのか?
こちらがガイドライン工法です。
ガイドライン工法は、1995年の阪神・淡路大震災以降に開発された工法です。
瓦のガイドライン工法|屋根工事と瓦のプロ集団【全日本瓦工事業連盟】
↑詳しくはこちらのHPでご確認下さい。
真ん中の部分に棟補強金物と呼ばれるものが入っており、これが野地と連結することにより、建物が揺れた際には一緒に揺れることにより、慣性の法則で崩れることを防ぎます。
また、のし瓦同士も銅線で緊結をすることにより崩れることを防ぎます。
さらに、棟芯材の木材に一番上の冠瓦をビスで留め付けることにより瓦が崩れることを防ぎます。
旧工法からガイドライン工法に棟部分を積み直していただけることが一番良いのですが、既存の状態のままで補強することができないかという考え方から既存棟の耐震補強という工法も組合で開発しました。
こちらが画像になります。
既存棟の耐震補強:既存棟耐震補強工法/屋根の相談/瓦Web・愛知県陶器瓦工業組合
↑詳しくはこちらのHPでご確認下さい。
まず、一番上の冠瓦を外し、棟固定用補強ビスにより屋根の構造躯体である棟木に固定をし、ガイドライン工法の棟補強金具の代わりをします。
そして、のし瓦の一番下の部分を横からL型補強金具で挟み込んでビスで固定します。
ビスで固定する際に、半端瓦の部分も野地に固定をします。
また、のし瓦同士は中で緊結することができないため、コーキングで上下左右を固定します。
こうした棟部の補強や耐震化もしながら施工をしていただいているのですが、普段は中側は見ることができないため、どうなっているのか心配ですよね?
今回の展示会でも普段見えないところを見えるようにして、正しく情報を伝えることをテーマに行いました。
瓦が地震に弱いのではなく、施工方法も含めた問題でした。
気になる方は、一度お近くの屋根工事店さんにチェックしてもらうと良いのではないかと思います。
また他の部分も別の記事で書いていきます。
ご参考にしていただければと思います。