屋根材選びによって構造躯体量が変わるので、最初から検討しておいた方がいいですよ
住まいづくりサポーター屋根係のブログを読んでいただいてありがとうございます。
これから住宅の建築を計画していこうという方に読んでいただきたい記事です。
住宅を計画される際に屋根材は後回しになってしまいがちなのですが、事前に検討いただいておいた方が実はいいんです。
屋根材選びによって構造躯体量が変わります。
住宅を建築する際には、役所に建築確認申請というものを行い、許可を受けなければ建てることができません。
申請を行う際に、この住宅・建物が安全かどうかという確認をします。
必要書類の中に構造計算書というものがあり、建物の安全性を確認するためのものです。
話が逸れますが、記憶に新しいところで、姉歯事件というものがありました。
構造計算書を偽造し、実際の仕様と異なる計算がされてしまい、建物の安全性に問題が出て、建て替えなどが相次いだ事件でしたね。
実際私の住んでいる地域にも2件ありました。
話が逸れましたので、戻します。
構造計算書には、固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風荷重・地震荷重等に対して、安全であることを確認する作業のために必要です。
分かりやすく言いますと、現在の建物は地震に弱いものは建てれないシステムになっていますので、ご安心下さい。
ここで質問です。
瓦屋根は地震に弱いって本当でしょうか?
答えはNO!です。
先ほどの構造計算書で証明されない限り、建築できないため、実は地震に対する建物の安全性は同じ基準なんです。
皆さんのイメージだと瓦が地震に弱いと思ってましたよね?
瓦と軽い屋根材は、安全性は同じなのに、何が違うのでしょうか?
答えは柱の太さや耐力壁の量の差です。
屋根材の重さは軽い屋根材(金属屋根材・スレート屋根材等)と瓦屋根では重さは違います。
そこで、その重さによって構造計算をし、柱の量や耐力壁の量を増やしたり調整します。
ではどのくらいの量の差なのでしょうか?
答えは壁3枚だけなんです(建物の大きさなどによって変わります)。
岡田恒先生のお話しから抜粋です。
屋根の重さは地震荷重の大きさを左右してはいるが、決して建物の耐震性を決定してはいない
分かりやすく言いますと、屋根の重さは最初の建物の重さとしては関係あるが、地震に対する強さを決定するものではない!
構造躯体の設計が一番大事なんですよね。
瓦に対しての部分はどうしても熱くなってしまって長くなってしまいました。
まとめ
屋根材の重さによって、柱の量や耐力壁の量が変わるので、間取りの中でこの壁は耐力壁だから抜くことができない。
っといったことが起こる場合があります。
全体の壁量のバランスをとる必要があるため、間取りに影響が出ることがあります。
だから、最初に屋根材を瓦を使いたいと考えている場合は伝えておくとそれを考慮した間取りを提案してくれるので、お伝えすることをオススメします。
- 最後に瓦屋の立場から実際にあった相談を書かせていただきます。
以前、友人から金属屋根材で家を建てたのだが、雨音がうるさくて瓦に葺き替えをしたいのだができる?と相談を受けました。
構造計算の観点から行くと、耐震性が悪化することが考えられるため、私は葺き替えをオススメすることはできませんでした。
屋根材を軽量にすることによって、柱の量や壁量を減らすことができてコストを抑えることはできます。
しかし一度、軽量の屋根材で構造躯体のバランスを計算された建物に瓦屋根を載せることはオススメできません。
逆に瓦屋根から軽い屋根材に変更する場合は、可能です。
安全性はどちらの屋根材でも変わりませんが、耐久性なども含めてフラットに考えることが大切だと思います。
住宅は建ててから長く家族を守る大切なものです。
参考にしていただければと思います。
参考資料
http://www.kawara.gr.jp/pdf/taishin.pdf
↑こちらのサイトからも小冊子等がダウンロードできます。