瓦の下に鳥が巣を作ってしまわないようにする軒先面戸とは
瓦の下に雀などが巣を作ってしまうなんてことを聞いたことありませんか?
ツバメは見えるところに巣を作りますが、雀などは見えないところに巣を作ります。
では、どういったところから瓦の下に入ってしまうのでしょうか?
簡単に言うと瓦同士の隙間から入っていきます。
そして、入っていかないようにするアイテムの一つが軒先面戸(のきさきめんど)と呼ばれるものです。
軒先面戸(のきさきめんど)とは
こんな形のものです。
これは山平の商品で言いますと、SL瓦用のプラスチック製の面戸です。
略してプラ面戸と呼ばれます。
SL瓦は素焼き部分がメインの色になるので、プラ面戸はオレンジ色を採用しています。
さらに言うと、下側にタレがついている通称T型と呼ばれる特殊な形です。
一般的なプラ面戸の色は白かグレーのものが多いです。
また形状も横から留め付けるI型(アイガタ)と上から留め付けるL型(エルガタ)と呼ばれるものが多いです。
写真の都合上、弊社のSLのプラ面戸で説明させてもらいます。
実際に使用されている写真をご覧ください。
暗くなってしまって分かりにくいため左手前で面戸を手に持っています。
軒先部分にはSLのようなアーチのある瓦は隙間が空いてしまいます。
そこから雀などは入って行ってしまうんです。
それを防ぐために瓦の形状に合わせた面戸の形を作って塞いであります。
SL以外にもJ形瓦(和瓦)、S形瓦、平板瓦の中でもM形とか二つ山と呼ばれる形状のものには使用されています。
一般的なフラットに近い平板瓦では隙間がほとんどないため使用されないケースがほとんどです。
またプラ面戸の代わりにシックイなどが詰めてあることもあります。
要するに雀が入れないように塞いであればOKです。
他にも入る可能性がある場所は左右の袖瓦との間や壁際の部分の隙間などがありますが、ここは写真がないので、また撮ってきてご説明します。
すでに雀が巣を作ってしまっている場合には、入っていく場所の特定をしてそこを塞ぐという対処になります。
それにしても雀たちは快適な場所をよく知っているんですよね。
瓦の下ならば、外的も入って来ないし、雨も防げるし、さらに夏は涼しくて、冬も暖かい。
ただし住んでいるお家の方にとっては、困ることだと思いますので、適切に対処して雀たちにはお引っ越しをしてもらいましょう。
今日は軒先面戸のお話しでした。
いぶし瓦は色が経年変化で色がムラになってくるのが良いところ
いぶし瓦の魅力について自分なりに思っていることを書いてみます。
少しでも魅力が伝わるようにマニアックなことを分かりやすく書いていきますね。
まずはおさらいです。
いぶし瓦は焼成の最後の工程で燻化(くんか)して色を出す瓦です。
瓦全体・裏表が同じようにネズミ色な瓦です。
釉薬瓦は釉薬(ゆうやく)と呼ばれるウワグスリの反応で色を発色させる瓦です。
釉薬が塗ってあるところだけが、色がついてます。
もう少し詳しく知りたくなった方は、昨日の記事でご確認下さいませ。
↓
いぶし瓦と釉薬瓦の違いを分かりやすく書いてみます - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
さて、本題に入ります。
古美る(ふるびる)
時が経ち、住まいとの調和をしてきたような状態(経年変化)のことを私達は古美ると表現します。
これは新築当初の瓦の色です。
いぶし銀の色がキレイに揃った状態です。
これはこれで美しいですよね!
しかし、いぶし瓦の美しさはここからさらに増すものだと思っております。
経年変化によって独特の味わいのある風合いが出てくると本当に美しさを感じます。
時を経たモノにしか出すことのできない風合い。
それこそが「古美る」です。
なんでも新しいモノが美しいわけではありません。
特に日本のモノは時を経てこそ本当の美しさを醸し出すものが多いのではないでしょうか?
こうした日本人に備わった大切な感性を大事にしていきたいと思います。
今日はマニアックな話でしたが、参考にしていただければと思います。
いぶし瓦と釉薬瓦の違いを分かりやすく書いてみます
今回はいぶし瓦と釉薬瓦について書きます。
いぶし瓦とは
瓦の種類の一つであり、製法の違いにより「いぶし瓦」と分けられます。
素材の粘土は基本的には同じなのですが、色を出すための製法が違います。
瓦を焼きあげる最後の工程で、密閉された状態で無酸素状態でガスを入れることによって還元反応させ、表面に炭素の銀色被膜を形成させる製法です。
簡単に言ってしまうと、焼き上げの最後でスモークする、燻化(くんか)、燻す(いぶす)ことによって炭素を付着させて銀色の色を出します。
釉薬瓦と違って全体的に銀色の色が付着するのが特徴です。
割っても中までネズミ色の瓦です。
取り扱う時に一点注意が必要なんです。
表面に炭素被膜が付いているため、素手で触ってしまうと手の脂分と反応してしまって跡がついてしまうので、施工する時は軍手をして下さい。
釉薬瓦とは
瓦の表面に釉薬(ゆうやく)と呼ばれるウワグスリを掛けて化学反応することによって色を出す瓦です。
写真の上部を見てもらうと釉薬の塗っていない部分はもともとの土の色が出ています。
形は同じでも焼き上げる製法の違いによって燻し瓦と釉薬瓦の違いが出ます。
こんな青色の瓦の色も出すことができます。
今屋根に乗っている瓦がイブシ瓦なのか釉薬瓦なのかを判別するために一番確実なのは、瓦の裏面の色が土の色なのかネズミ色なのかによって見極めることができます。
また、いぶし瓦の場合は経年変化によって屋根全体に独特のムラが出るのも特徴です。
また銀色以外の場合はほとんど釉薬瓦です。
稀に釉薬を塗っていない素焼きの瓦もありますが、ほとんどないのが現状です。
今回はいぶし瓦と釉薬瓦について書きました。
参考にしていただければと思います。
屋根にコーヒーの文字発見
以前屋根に「瓦」の文字がある写真を紹介したのですが・・・
そうそうこの写真です。
瓦の色を変えることによって、文字を表現することができるんですよね。
以前「コーヒー」と書いてある喫茶店の屋根をどこかで見たことがあるんだけど・・・
どこだっけなぁ・・・なかなか思い出せませんでしたが、先日発見しました!!!
やったぁ!発見!!!
しかも急いで写真を撮ってもらったのに意外とちゃんと写ってました。
こうやって屋根に「コーヒー」という文字も表現できます。
しかし一個気づいてしまったことが・・・
これが瓦じゃないですね・・・
おそらくセメント屋根材です。
当初はもっとコーヒーの文字がハッキリしていたと思うのですが、ちょっと色落ちしてきてしまいましたね。
屋根の修理ではないですが、そろそろ色の塗り替え時かと思います。
今度こそどこかで本物の瓦を使った「コーヒー」の文字を探したいと思います!
雨に濡れる瓦の艶と機能美について
梅雨の季節がやってきました。
私達瓦業界は外での仕事がメインですので、雨が降ると作業が進めることができず困ってしまうこともあります。
しかしながら、私が感じる魅力の一つとして雨に濡れた瓦の艶っぽさは本当に美しいと思っています。
もともと日本の文化はパリっとしたものといいうよりも、艶感を感じるものの方が多いと思います。
個人的にはこれは日本独特の気候だったり、気質が関係しているのだと思っています。
直線美ではなく、曲線美。
ドライではなく、ウェット。
建築においても、日本らしさを感じる建物としては、曲線美であると思います。
屋根の独特の曲線美。
これは日本人の美的感覚の鋭さだと感じています。
建物では、石の文化ではなく、木の文化。
無機物ではなく、有機物。
自然を大切にする心ではないかと思います。
柱の梁(はり)は木の自然な曲線を活かしているものに美しさを感じませんか?
構造躯体としての要素+魅せる(みせる)ものとして使われているような気がします。
雨は作物を育てる上では必ず必要な恵みの雨でもあります。
雨に濡れる瓦が魅せる独特の艶っぽさを楽しんでみてはいかがでしょうか?
そんな気持ちで過ごすことができたら、雨もまた良いものではないでしょうか?
雨もあんまり長く続いたり、ゲリラ豪雨は困りものですが・・・
雨を速やかに排出するために形がどんどん進化した瓦。
瓦の機能美を楽しんでみるのもいいものですよ。
鬼瓦の上についてるチョンマゲみたいなものって何?
今回は鬼瓦の話です。
お寺の屋根や、和風住宅の鬼瓦の上にチョンマゲみたいなものがついている時があるのをご存知ですか?
あまり注意深く見たことないかも知れませんが、ちょっと気にしてみると面白いものが見れるかも知れません。
屋根の左についている鬼の顔をした鬼面鬼瓦の頭の上部分をご覧ください。
チョンマゲのようなものがついていますよね?
これは正式名称は「鳥休み(とりやすみ)」と言います。
巴瓦との相性もよく、鬼瓦に力強さを加える伝統的な装飾です。
注意深く見ているとこんな写真のような状態が見れるかも知れませんよ。
本当に鳥が鳥休みに留まって休んでいました(笑)。
こんな状態が見ることができるかも知れませんね。
この独特なカーブは鬼師さん達が手作りで仕上げております。
独特な曲線美には職人技が欠かせませんね。
人の手が加わることで職人の想いや魂がこもるのかも知れませんね。
今日は鬼瓦の上にある鳥休みについての記事でした。
皆さんも、上を向いて歩いてみましょう~~。
住まいの入口である玄関の話 親子ドアって?
普段あまり気にして使ってはいないけれども、一戸建て住宅を建てる際には検討する必要のある玄関ドアについて書いてみます。
玄関ドアにも実はいろんな種類があるんです。
商品もたくさんありますが、ここではタイプ分けについてお話ししますね。
大きくは4つに分けることができます。
片開きドア、親子ドア、両開きドア、引戸(ひきど)。
え?親子ドアって何?
一つずつ画像も使って説明しますね。
片開きドア
これが一般的な片方に開くタイプで片開きドアと言われます。
アパートなどの玄関はほぼコレです。
理由は・・・お値打ちだからです(笑)。
片方だけに開きますので、開く方向もちゃんと考えておかないとマズイことになるのでご注意を!
親子ドア
片開きのドアの横に小さいドアのような部分がありここも開くことができます。
普段は使いませんが、大きな荷物などを家に入れる時などには重宝します。
大きいドアと小さいドアがまるで親子のようだということで、親子ドアと言われています。
個人的にはドアならば、このタイプが好きです。
両開き・観音開き(かんのんびらき)
文字通り両方とも開くドアです。
とは言っても使用するのは主に片方のドアだけですが、存在感は抜群です。
両方とも開くことができるので、親子ドアよりもさらに広く開くことができます。
両方とも開けておくと凄く重厚感があって、開放感もあり素敵です。
豪邸って感じを受けますね。
引戸(ひきど)
日本に古くからある横に引いて開けるタイプのドア?玄関です。
日本にはドアは昔はありませんから、全てこのタイプの玄関でしたよね。
どちらからも開けることができるのも特徴です。
また大きな荷物を運びこむ時には、戸を外して広く使うこともできます。
私の実家も引戸ですので、大掃除や家具の入れ替えの時は戸を外してましたね。
以上が大きく分けた玄関ドアの説明となります。
最近では引戸は和風の住宅を建てる時にしか使われないようになってきてしまっている気がしますが、両手に荷物を持っている時などには凄く便利です。
さらには洋風な建物にも合うようなオシャレな引戸もでてきています。
価格も様々ありますが、家の顔ともいえる玄関です。
大切なお客さんを迎え入れるところですので、少しこだわってもいいのではないでしょうか?
オマケ
こちらは勝手口(かってぐち)のドアですが、最近?っというか10年くらい前からこういったタイプが多いです。
実はガラス部分が上と下で分かれており、カギを掛けた状態でガラス面を少し開けることができ、風を取り入れることができます。
採風タイプと呼ばれるものです。
新入社員で入社した住宅会社で初めて見て、一番衝撃を受けた勝手口ドアでした。
最近はカギを回さなくても電子制御だったり指紋認証だったり様々な防犯ドアがありますよね。
私はドアよりもご近所さんとの関係性を深める方が防犯にはなると思うんですね。
機械も確かに正確ですが、人の温かみとか優しさとかの方が大事だと思うんですね。
昔だったら、お隣さんに数日旅行に行くので留守の間お願いしますね。
なんて言って出掛けた気がします。
お花に水やりなんてやってくれちゃったり。
最近では、いらんおせっかいをしてはいけないからと言って見て見ぬふりも多いと聞きます。
ご近所さん・お隣さんとの関係性・つながりを深めるいい機会になったらいいなと思います。